校訓

和而不同(和して同ぜず)

一校の教育課程を考える場合、もっとも大切なものは何であろうか。
それは教育目標であり、さらにその核心をなすものは、どのような生徒の育成を望むか、その人間像を明確に思い定めることである。
学校生活の指針となり、生徒・教師のあいだに日頃かわされる合言葉となり、卒業ののちにあっても、
自らを励ます心の拠りどころとなるべき、端的な指標は何であろうか。
われわれは、これまでの教育についての経験を結集し、できるだけ多くの資料を参考としつつ、共に目指すに足る人間像を探し求めてきた。
その結果として得られたものは、日々研鑽を重ねてゆく、協同の場に於ける人の融和と、さらにその中にあって、互いの個性を尊重しつつも、
にわかには大勢に同じない主体性とを、ふたつながら確立することにあるとの信念であった。
こうした経緯を踏まえつつ、われわれはここに、「和而不同」の四字を『論語』から引いて、校訓と定めるに至った。
滔々たる没個性化、画一化の世情のさなかにあって、「和して同ぜず」の校訓は、生徒たちが、その将来を共に、あるいは自ら、
創造的に切り開いて行くための、色褪せることのない旗じるしたり得ると信じて止まないものである。

和 而 不 同(和して同ぜず)
『論語』・子路
昭和57年2月制定